RESEARCH & DEVELOPMENT カーボンニュートラル

バイオ燃料

カーボンニュートラル社会へ向けたセルロース系バイオエタノール製造

CO2排出量削減の観点からバイオエタノールは自動車用燃料や化学品用の原料など様々な用途での利用が期待されています。また近年、バイオエタノールを原料に航空機用燃料を製造することも注目されています。
現在、世界で主に生産されているバイオエタノールはさとうきびやとうもろこしなどの食料から生産されており、食料との競合が懸念されています。当社はパルプなどの木質バイオマスや古紙など食料として利用できないセルロース資源を原料にバイオエタノール製造技術の開発を進めています(図1)。

図1 生物化学的な変換によるバイオマスからのエネルギー生産

実用化を目指したエタノール連続生産プロセス開発とCO2の高度利用

当社は、セルロース系バイオエタノールの実用化に向けたプロセス開発を進めています。要素技術として原料の利用効率を高めるため従来酵母では転化しづらいキシロース等の糖も利用可能な酵母を独自開発しました。効率的な前処理工程、独自酵母による糖化発酵工程と木質バイオマスを分解する酵素とエタノールを生産する酵母の回収・循環工程を組み合わせたエタノール連続生産プロセスとすることで、生産コストの低減を可能にしました。ラボレベルでの基礎検討に留まらず、本プロセスを用いて100kL/年の実証プラントを稼働させ、20日間以上のエタノール連続生産に世界で初めて※成功しています。さらに、本プロセスを用いて製造したバイオエタノールは化石資源の燃焼に比べ、CO2排出量が少ないことを確認しています。現在、セルロース系バイオエタノールの社会実装に向け、原料の多様化検討、エタノール生産の高効率化、CO2削減量の向上に取り組んでいます。実証プラントでの知見をベースにより大きな規模へのスケールアップ検討にも取り組んでおり、2027年以降の商用規模でのプラント稼働を目指して技術開発を進めています。

※当社調べ

また、バイオエタノール製造工場からはエタノール製造に伴いCO2が排出されます(図2)。この CO2を回収し、合成燃料の原料とすることで、トータルとしてCO2排出量削減効果のより高いプロセスが可能になります。

図2 将来的な事業スキーム

今後、当社はセルロース系バイオエタノールの製造技術を実用化し、自動車用燃料、化学品原料、航空機用燃料などに利用することで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。

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