バイオ燃料

カーボンニュートラル社会へ向けたセルロース系バイオエタノール製造
CO2排出量削減の観点からバイオエタノールは自動車用燃料や化学品用の原料など様々な用途での利用が期待されています。また近年、バイオエタノールを原料に航空機用燃料を製造することも注目されています。
現在、世界で主に生産されているバイオエタノールはさとうきびやとうもろこしなどから生産されており、食糧との競合が懸念されています。当社はパルプなどの木質バイオマスや古紙など食糧として利用できないセルロース資源を原料にバイオエタノール製造技術の開発を進めています。遺伝子発現解析や代謝シミュレーションなどを用いた独自の研究開発により、C6糖のグルコースだけでなく、C5糖であるキシロースからもエタノールを高効率で製造できる酵母を開発し、バイオエタノールの製造効率を飛躍的に高めることに成功しています(図1)。

実用化を目指したエタノール連続生産プロセス開発
当社は、セルロース系バイオエタノールの実用化に向けたプロセス開発を進めています。効率的な前処理工程、木質バイオマスを分解する独自酵母による糖化発酵工程と、酵素と酵母の回収・循環工程を組み合わせたエタノール連続生産プロセスとすることで、コストの低減を可能にしました。ラボレベルでの基礎検討に留まらず、本プロセスを用いて100kL/年の実証プラントを稼働させ、20日間以上のエタノール連続生産に世界で初めて※成功しています。さらに、本プロセスを用いて製造したバイオエタノールは化石資源の燃焼に比べ、CO2排出量が少ないことも実証しています。
現在、セルロース系バイオエタノールの社会実装に向け、原料の多様化検討、エタノール生産の高効率化、CO2削減量の向上に取り組んでいます。2026年度に古紙等を原料とした新しいパイロットプラントの稼働を開始する予定です。より大きな規模へのスケールアップ検討にも取り組んでおり、2030年以降の商用規模でのプラント稼働を目指して技術開発を進めています。
※当社調べ
当社は自動車用燃料や化学品、持続可能な航空燃料(SAF)の原料としての利用が期待されるセルロース系バイオエタノールの製造技術の実用化に向けた取組みを通じて、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。
