廃プラアスファルト

実証試験開始!


カーボンニュートラル社会の実現へ向け、CO2排出量の大幅な低減を可能とする廃プラスチックを利用した新しいアスファルト舗装の実証試験を社内外複数のサイトで進めています(図1)。本技術は、プラスチックのリサイクルに貢献するだけでなく、従来の舗装に比べ約40%のCO2排出量低減の効果があると試算されています(図2)。
廃プラスチックは、国内総排出量の9割近い700万トン以上が何らかの形でリサイクルされています。しかし一般的にイメージされる使用済み品の再生利用(マテリアルリサイクル)は全体の2割程度に過ぎず、大部分は焼却により副生する熱の一部を回収するサーマルリサイクルが占めているのが実情です。私たちは、燃焼に頼ることなく、廃プラスチックの持つ特性をできるだけそのまま活かす新しい舗装材料を開発しています。サーマルからマテリアルへ、いわばリサイクルのアップグレードを実現することで、資源循環の促進に貢献します。
俗にアスファルトと呼ばれる道路の舗装ですが、大部分は石や砂などの骨材で構成されています(図3)。バインダーのアスファルトに留まらず、骨材の全量を廃プラスチックに置き換えられれば、格段に多くの利用が可能となります。一方、プラスチックの表面は平滑であるため、わだち掘れと呼ばれる舗装体の変形が生じやすく、骨材とするためにはアスファルトの改良が必要です。当社は、適した特性を持つ廃プラスチックを利用してアスファルトバインダーの耐流動性を強化することにより、骨材に廃プラスチックを使用しても現行舗装と同等以上の性能を発現し得ることを確認しました(図4)。また骨材には、耐熱性の高さをはじめ多くの要件を全て満足する材料として、送電線の絶縁材に広く利用されている架橋ポリエチレンを用いたモデルケースを構築し、実用化を目指した検討を進めています。
本技術は、環境性能に加え重量を大幅に低減できることから、舗装体を支える路盤材や高架構造体への要求性能の軽減や、材料の運搬コストの削減にも大きく貢献します。また、軽さを活かしたまったく新しい工法の提案にも期待が寄せられています。

